- 老眼は何歳から始まりますか?
- 個人差がありますが、30歳代後半~40歳前半頃から始まります。
- 近視や遠視や乱視は遺伝しますか?
- 遺伝するとは一概に言えませんが、親御さんが背が高いとお子様も背が高くなる傾向があるように、お子様が親御さんと同じような屈折異常(近視、遠視、乱視のこと)になる傾向はあります。
- 風に当たると涙が出るのは何故でしょうか?
- 角膜表面は薄い涙液層で覆われ守られています。風が当たると角膜表面が乾き、角膜表面が露出します。 角膜表面の露出を防ごうとして涙が出ます。
- 糖尿病がありますが、自覚症状はありません。それでも定期検診を受けた方が良いのでしょうか?
- はい。自覚症状はなくても、眼底に出血するなど網膜に病的変化(糖尿病網膜症)を起こしていることがあります。
自覚症状を感じる頃になると、糖尿病網膜症がかなり進行している場合があるため、眼底に糖尿病網膜症が起きていないか、起きてしまっている場合は糖尿病網膜症が悪化していないか定期的に検診を受けることが大切です。
診察時には散瞳して眼底検査を行うため、お車の運転を控えて受診されると良いでしょう。
- 緑内障は治るのでしょうか?
- 緑内障自体を治すことは難しいですが、眼圧を下げる治療を行い、視野が欠ける進行を遅らせることはできます。視野の欠ける進行速度や程度は人によって違うため、定期的に眼圧、視力検査、視野検査を行う必要があります。
- 飛蚊症とは何でしょうか?治るのでしょうか?
- 飛蚊症とは、虫のように黒い点や糸のようなものが見える症状です。
飛蚊症には、生理的に起こる心配のないものと、網膜裂孔(網膜に穴が開く)や網膜剥離(網膜が剥がれる)、硝子体出血、眼底出血など早期治療を要する病気の場合がありますので、飛蚊症を初めて自覚したときはまず眼科で眼底検査を受け、その原因を調べる必要があります。
眼底検査を行う時は散瞳しますので、お車を運転しての来院は控えた方が良いでしょう。
生理的飛蚊症は、眼球内(硝子体という寒天のような透明な組織)の混濁が網膜に影を作って見えています。これをなくす方法はありません。見え方にお変わりのない時は様子をみていただいて結構ですが、増えた時などはまた改めて眼底検査を受けて下さい。病気の場合は治療が必要です。
- 「目が痛い」という理由で受診したのに、どうして最初にいろいろと検査する必要があるのでしょうか?
- 普段生活では両眼で物を見ていますが、片目ずつにしてみるとどちらかの視力が悪かったり、普段ご自身では気がつかない症状が検査で見つかったりすることがあります。目が痛い理由が何によって痛いのか、検査でより詳しく原因を調べたり、また痛いことにより、物を見る視機能などにも影響が出たりしていないか確認する必要があるためです。
- そもそも近視は治るのですか?
- 基本的には近視は治りません。ただし子供に多い仮性近視や偽近視と呼ばれる調節緊張は、一時的に目の屈折力が強くなった、近視に類似した状態であり、その場合は調節緊張をほぐす点眼薬や器械によるトレーニング(当院ではワックという器械が設置してあります)を行うことにより、調節緊張の改善を促すことが出来ます。
- 最近近くが見にくくなってきましたが老化でしょうか?
- 多くの場合は、老化いわゆる『老眼が出てきた』ことによる症状です。『老眼』は、専門的に言えば、『調節障害』です。『調節』とはピントを合わせる機能で、眼の中にある水晶体(柔らかい凸レンズ)の厚みを変えて行います。老化により体の各パーツが硬くなって、前屈もしんどくなるように、眼では水晶体が以前のように厚みを変えることができなくなり、目にグーッと力を入れても、近くのものが見にくくなってきます。
このほかにも病的異常で、調節衰弱、調節不全、調節遅鈍、調節麻痺、調節緊張、調節痙攣などの調節障害により、近くが見にくくなることもあります。
老眼が出てきたことにより、近くが見にくくなった場合は、眼鏡をかけることで、見やすくなります。どのような眼鏡をかければ快適に生活できるかは、眼の状態はもちろん生活環境や職業なども考慮して決めることをお勧めします。眼科で相談されると良いでしょう。病的な異常で見にくくなることもあるので、一度眼科で診てもらうことをお勧めします。
- 黒いものが見えるのですが、病気ですか?
- 糸くずのようなものが見える、蚊のような黒い小さなものが飛んでいるように見える、色も黒いものから白っぽい透明なものまで、表現や見え方にはいろいろあるようですが、このような症状を「飛蚊症」と言います。とくに明るいところや、白い壁、空などを見たときに自覚することが多いようです。眼を動かしても一緒に動いて消えません。加齢による生理的な変化で問題のないことも多いのですが、網膜剥離や網膜裂孔、眼底出血、ぶどう膜炎といった病気の初期症状ということも十分に考えられます。これらはいずれも早期の治療が必要ですので、飛蚊症がでてきたり増えたりした場合には、できるだけ早く眼科を受診することをお勧めします。受診時は、眼の奥の状態を詳しくみるため、眼底検査を行います。眼底検査は、ひとみ(瞳孔)を大きくする目薬を点眼して行います。目薬が効くのに15分ほどかかり、元に戻るのに4~5時間かかります(個人差があります)。検査後、まぶしかったり、特に近くのものが見にくくなります。車やバイクでの来院はご遠慮いただいたほうが良いです。
- 片目で見て二重に見えるのは何故ですか?
- 片目で見て二重に見える原因は、主に角膜や水晶体に由来します。具体的には、角膜に由来するものとして、乱視や円錐角膜などの角膜の不正によるもの、涙液異常により涙液が角膜に一様に分布されないため起こるもの、LASIKなど屈折矯正治療の術後、コンタクトレンズによるものなどがあります。また、水晶体に由来するものとしては、白内障により水晶体が混濁し形態が変化したため起こるもの、調節異常などがあり、うまく水晶体の厚みを調節できないため起こるもの、水晶体が正常の位置からずれている(水晶体脱臼)ため起こるものなどがあげられます。まれに、網膜に由来するものもあり、網膜剥離や黄斑浮腫などでも物が二重に見えることがあります。
- 白内障と緑内障はどのように違うのでしょうか?
- 白内障は年齢を重ねると、程度の差はありますが、誰でもかかる眼の病気です。水晶体(カメラでいうレンズの働きをしている)が濁り、見えにくくなります。この眼の濁りは、ほとんどの場合、眼の老化によるもので、人が歳をとると髪の毛が白くなったり、皮膚にしわが寄るのと同じような正常な変化です。いったん濁ってしまった水晶体を元の状態に戻すためには、手術によって水晶体(カメラでいうレンズ)の濁りを取り除き、人工のレンズを入れる以外に方法はありません。点眼薬は、水晶体の濁りを取り除くためのものではなく、白内障の進行を遅らせるための薬です。日常生活を送る上で、不自由を感じるようになったときが、手術のタイミングといえるでしょう。ただし、早めに手術をした方が良い場合、手術を待った方が良い場合もありますので、主治医と良く相談すると良いです。
一方、緑内障は、自覚しづらい病気で、視野(ものの見える範囲)が欠けていく病気です。
放置していると少しずつ進行し、最悪の場合は失明に至る病気です。網膜(カメラでいうフィルム)には、一面に視神経(ししんけい)がはりめぐらされており、緑内障は正常に機能する視神経が減少する病気です。失われた視神経の部分に相当する視野が欠け、一度失われた視神経は再生せず、欠けた視野も二度と戻りません。
病気の進行とともに徐々に見える範囲が狭くなり、最悪のケースでは光を失う事になります。緑内障には、いろいろなタイプがありますが、多くの人がかかる緑内障は、痛みや充血といった症状もなく、病気の最終段階まで見えにくいという症状も自覚しません。唯一の自覚症状は、視野(物の見える範囲)の一部に見えない所ができるというものですが、普段私達は2つの眼で物を見ているため、互いの眼の視野で補い合って、これも意外に気づきません。多くの場合、自覚症状がないため、緑内障とわかっていても、不自由しないからと、治療を受けない人もいるくらいです。40歳以上の20人に1人は緑内障と言われています。自覚症状がない病気ですので、40歳を超えたら一度眼科を受診し、緑内障の検診を受けることをお勧めします。「早期発見・早期治療」が重要な病気です。緑内障と診断されたら、進行を食い止め、今の状態を維持していくよう、日常生活の中で緑内障とうまく付き合っていくことが大切です。
- 近視だと老眼になるのは遅いというのは本当でしょうか?
『近視の人は老眼になりくい(老眼にならない)』これは良く聞く言葉ですが、正確に言うと、『近視の人は老眼に気づきにくい』です。
老眼とは、ピント合わせをする力(カメラでいうフォーカス機能)が弱くなり、近くが見づらくなる老化現象です。誰にでも年齢を重ねる事で起こる現象です。もちろん近視の人もなります、近視は網膜(カメラで言うフィルム)より前で焦点を結ぶ眼で、近くにピントが合っています。
老眼になっていても、使っている眼鏡やコンタクトレンズをはずすと、近くが見やすくなります。多くの方がこの状態は老眼だと思っていないため、実際には老眼の症状が始まっているにもかかわらず、まだ老眼ではないと思う事が多いのです。
- 遠視と老眼は一緒でしょうか?
- 遠視と老眼は混同されがちですが、違っています。遠視は網膜(カメラでいうフィルム)より後ろで焦点を結ぶ眼で、遠いところにも近いところにもピントが合っていない目です。いわゆる近視・遠視・乱視という、眼の屈折の状態を表しています。それに対して、老眼はピント合わせをする力(カメラでいうフォーカス機能)が弱くなり、近くが見づらくなる老化現象です。誰にでも年齢を重ねる事で起こる現象です。近くが見づらいという点では、遠視も老眼と同じ症状なので、混同されるのだと思います。同じ近くが見づらい症状でも、その原因が全く異なります。
遠視の人は、普段遠くを見るときも近くを見るときも、自分のピント合わせの力(カメラでいうフォーカス機能)を使って物を見ています。遠くのものを見るときより近くのものを見るときに、たくさんピント合わせの力を使うので、遠視の人も近くが見づらいという現象が起きます。若い時は、ピント合わせの力(カメラでいうフォーカス機能)がたくさんあるので、その力を使える範囲で、物を良く見ることができます。また、『遠視の人は老眼になりやすい?』と言われる事もありますが、そのような事はありません。遠視の人は、遠くを見るときにもピント合わせをしていて、さらに近くを見るときにはそれに加えてピント合わせをしなくてはいけません。同じ近くを見るのでもたくさんのピント合わせの力を使っているので、老眼を早く自覚する可能性があるのです。